子どもの腹痛と局部付近の腫れは小児鼠径ヘルニア(脱腸)の可能性

 

今回は子どもの病気の一種として結構多くの子ども(全体の約5%)に出やすい、手術が必要な病気「鼠径ヘルニア」についての話題を取り上げます。

 

鼠径ヘルニアは要は脱腸の一種なわけですが、子どもの場合だと生後6ヶ月以降から見られる先天的な脱腸となり、手術の準備が必要な病気になってしまいます。

 

鼠径ヘルニア(脱腸)では鼠径部(局部周辺)に腫れが出来たり、その周辺を触った時に痛みを訴えるような症状が出ます。これは成長にともなって精巣が睾丸内に入る時、その精巣が通る穴が精巣が通ったあとにも閉じず、その穴の中に内臓(主に小腸)が入ってしまって起きる症状です。

 

 

男児の例で書きましたが、同様の穴は女児にもあり、成長と共にちゃんと閉じなかった場合には同じく鼠径ヘルニア(脱腸)となってしまいます。男女ともに見られる症状です。

 

主に腹痛が症状としては出てきて、それに伴った吐き気や嘔吐も時には見られます。裸になると鼠径部において腫れなどのわかりやすい症状が目につくため、比較的判断は容易です。内臓が圧迫されることによる腹痛のため、一度痛みが出始めると中々痛みは引きません。時に1日中痛みから泣きはらす子どももいます。

 

時に自然に治るという報告もありますが、基本的には手術が必要な状態です。放置していても極端に命に関わる問題にはなりにくいですが、改善する傾向もまず見られないため、鼠径ヘルニア(脱腸)の状態を確認できたら、すぐに病院へ行くことをおすすめします。

 

手術自体は心配する要素は多くありませんが、全身麻酔をする場合もあり、生後6ヶ月以降からの手術が望ましいとされています。手術では入院期間が必要なことが大体で、症状が軽い、回復力のある年齢だったら日帰り手術にもなるでしょう。

 

鼠径ヘルニア(脱腸)の体験談

 

一応この病気にも参考になりそうな体験談があるので紹介しておきます。

 

息子が1歳を過ぎた頃の話ですが、その晩いつもよりも元気がなく晩御飯もほとんど食べれない状態で、どこか具合が悪いのか聞いても、まだちゃんとした会話もできない状態でしたので曖昧なまま、取り合えず、疲れているのかと思い、早めにお風呂に入れて寝かせようと思いました。

 

まだ、しっかり洗うことのできない息子のために、まずは髪の毛を洗い、次に体を洗い始めました。

左わき腹の下辺りを触れると息子がすごく痛がり、思わずビックリしましたが、気を取り直してその辺り一体を手で触れていくと、盛り上がった感じの感触を確認しました。

反対側のわき腹を触っても、平らな状態でこんもりした状態ではなかったので、これは普通ではないと思い、すぐにお風呂から出ました。

パジャマを着させている途中から、息子が痛みのために泣きじゃくるようになり、以前、医療関連の記事で知識があった脱腸が頭を過ぎりました。

確か、脱腸が起きてもすぐに元の位置に腸が戻れば壊死の心配はないといったような内容でしたが、息子はまだ幼く、万が一違った病気だった場合のことも考え、主人と相談し緊急外来に受診することにしました。

 

病院への途中、泣き疲れてしまったのか息子は車の中で寝てしまいました。

病院到着後、外科の先生に診察して頂いた結果、鼠径ヘルニア(脱腸)という診断を受けました。 先生の説明では、自然に治る場合もあるが今後同じような症状が起こる可能性が高く、また6ヶ月未満の乳児には手術を施せないが、息子は1歳を過ぎているので手術をしてしまった方が安全だと言われました。

私も主人も、脱腸の知識はあったので先生に手術をお願いすることにしました。 手術も無事終わり、入院期間も数日で済み、息子も元気を取り戻してくれて本当に感謝しています。

腫れの前段階でこのように気付くケースもあるようです。予めこの脱腸に関する知識を持っておけば、長時間の腹痛で苦しむ子どもの原因が分かるかもしれません。